赤ワインの王様!カベルネ・ソーヴィニヨンの特徴・味・香りを徹底解説

カベルネ・ソーヴィニヨン

こんにちは。管理人のいろはにほへと(id:winenoiroha)です。

「ワインについて勉強したい」
「スーパーやレストランでさりげなくワインを選べるようになりたい」

と思った人にぜひ知って欲しいのが、「ぶどうの品種」に関する知識。

赤ワインと白ワインに使われている代表的な品種の違いさえ理解してしまえば、自分の好みに合ったワインを選べるようになります。

ただ、「カベルネ・ソーヴィニヨンはタンニン豊かで濃厚な赤ワイン」「メルローはタンニンが控えめで柔らかな口当たりの赤ワイン」という簡単な説明では、いまいち違いがよくわからないという人もいるでしょう。

そこで今回は、カベルネ・ソーヴィニヨンの特徴や見た目、香り、栽培されている国による違いなど、カベルネ・ソーヴィニヨンの基本情報を徹底的に解説しました!

ワインに詳しくなりたい人は、ぜひ参考にしてください。

赤ワインの王様!カベルネ・ソーヴィニヨンとは

王様 キング 王冠

photo credit: Manu S.F. Crown of Romania via photopin (license)

フランス・ボルドー地方を中心に全世界で栽培されているぶどう

カベルネ・ソーヴィニヨンは、フランスの南西よりにある「ボルドー」という地域を中心に、全世界で栽培されているワイン用のぶどう品種です。

醸造用ぶどうだけでも10,000種類、それどころか20,000種類以上あるといわれるなかで、知名度の高さなら断然トップ。

ワインを飲んだことのない人や苦手な人たちが持つ、「ワインは酸っぱいし渋い」というイメージは、じつはカベルネ・ソーヴィニヨンのワインからきています。

赤ワインといえばカベルネ・ソーヴィニヨンのワインといわれるほど、ワインを楽しんだり学んだりする上で大切な品種なのです。

カベルネ・ソーヴィニヨンがここまで有名になった理由は、

  • 病気や害虫に強く育てやすい
  • 寒さに強い
  • 世界的に有名だからマーケティング的に有利

から。 

ぶどうは、北はフィンランドから南はニュージーランドまで、温かくても涼しくてもスクスクと育つくらい環境の変化に強い果物です。

しかも、水分が少なければ少ないほど味や栄養が凝縮し、おいしいワインになります。

水やりの手間が少ない分比較的育てやすく、上質なものを作れば1本数千円から数万円で販売できるため、醸造用のぶどうを育てている国が増えたのです。

実際、世界で栽培されているぶどうの約70%は、生食用ではなく醸造用(ジュースやワイン用)だとされています。

日本の場合は比率が逆で、生食用のぶどうが全体の約90%。

世界的に見ると、あまり儲からない生食用のぶどうを熱心に研究して育てている日本は、少数派です。

全世界で育てられているため、ワインショップやスーパーでも「カベルネ・ソーヴィニヨン」を使ったワインがたくさん並んでいます。

赤ワインは、

  • カベルネ・ソーヴィニヨン
  • ピノ・ノワール
  • メルロー
  • シラー

の4品種を押さえてしまえば、ワインの違いを理解して自分の好みに合った種類を選べるようになります。

濃くて渋くて何十年も熟成するワイン造りの王様

カベルネ・ソーヴィニヨンの特徴は、とにかく濃厚で飲みごたえがあること。

カベルネ・ソーヴィニヨンを使用すると、代表的なぶどう品種のなかでもトップクラスに「濃い」ワインに仕上がります。

ただ、ボジョレー・ヌーボーのような甘みがあって軽い赤ワイン、デザートのように楽しめる甘口の白ワイン、爽やかでのどごしのよいスパークリングワインに比べるとタンニンが強いため、いわゆる「飲みやすさ」とは無縁です。

そのかわり、良質カベルネ・ソーヴィニヨンのワインは熟成に時間がかかります。

数年で味わいや香りが劣化したり、味のピークを迎えてしまうことはなく、ものによっては数十年以上の時間をかけて少しずつおいしくなっていくのです。

若い間は香りも渋みも果実味も濃厚で、ガツンとした赤ワイン。

しかし熟成させると、まろやかで複雑な風味のワインになります。

まったく同じワインをケースで購入して、20歳のとき、30歳のときと時間の経過ごとに味わうといった贅沢な楽しみ方もできるのです。

ちなみに、フランスでもたったの5つしかない第1級格付けワイン、「5大シャトー」のワインも、すべてカベルネ・ソーヴィニヨン主体。

ドラマや小説なら、間違いなく正統派イケメンの主人公役に抜擢されるワイン用ぶどう品種といってよいでしょう。

どんな見た目なの?写真で確かめてみよう

カベルネ・ソーヴィニヨン

Agne27 at the English Wikipedia [CC BY-SA 3.0 (http://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/)] https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Red_Mountain_Cabernet_Sauvignon_grapes_from_Hedge_Vineyards.jpg

カベルネ・ソーヴィニヨンの見た目はこんな感じ。

比較がないとわかりづらいですが、ワイン用のぶどう品種はどれも生食用よりずっと小粒です。

黒みがかった濃い赤紫色で皮も分厚く、種も大きめ。 

生のままでも食べられますが、生食用のぶどうとは違って果汁も少なく、種も大きいので食べやすいとはいえません。

ただ、ワイン醸造用のぶどうは生食用のぶどうよりも糖度が高く、ぶどうの甘みが凝縮しているので驚くほど濃厚です。

 「生のカベルネ・ソーヴィニヨンを食べてみたい」という人は、ネットのお取り寄せで購入してみましょう。

 ちなみに、ワインの色合いも、少し暗めの赤紫色や深紅に近い濃い色になります。

カベルネ・ソーヴィニヨンはこんな香り

カベルネ・ソーヴィニヨンの代表的な香りは、

  • カシス
  • ブルーベリー
  • プラム(西洋すもも。プルーンと呼ばれることも)
  • 杉やシダの木
  • ピーマンのような青臭い香り
  • 黒胡椒
  • ハーブ
  • チョコレート

など。

できてからあまり時間のたっていない若いワインは、カシスやブルーベリーといった果実と、青臭いピーマン等の香りが強めです。

時間がたって熟成するにつれて、木やハーブ、タバコ、なめし革などの複雑な香りが出てくるようになります。

旧世界VS新世界!あなたはどっちのカベルネ・ソーヴィニヨンが好き?

旧世界のカベルネ・ソーヴィニヨンはワインに慣れてきた人向き

旧世界、おもにフランスで作られるカベルネ・ソーヴィニヨンのワインは、ワインに慣れてきた人や、ちょっと本格的にワインのことを勉強したい人向き。

複数のぶどうを混ぜて作るからブレンドが複雑

世界でもっとも有名なカベルネ・ソーヴィニヨンの産地・ボルドーでは、カベルネ・ソーヴィニヨンやメルロー、カベルネ・フランなど複数のぶどう品種をブレンドして(専門用語でセパージュという)1本のワインを作ります。

ボルドー地方のセパージュは「ボルドーブレンド」と呼ばれるワインのお手本。

イタリアや新世界の高級ワインも、その多くがボルドーブレンドでワインを作っているほど。

どうして単一のぶどうでワインを仕込むのではなく、複数のぶどうをセパージュするのかというと、香りや味わいの異なるぶどう品種をブレンドすると、その分複雑な風味のワインに仕上げられるからです。

また、種類の異なるぶどうは熟すタイミングや病気への強さなどが違うため、天候の不安定な旧世界では、「今年のカベルネ・ソーヴィニヨンはイマイチだけど、メルローは素晴らしい」といったことが起こります。

単一品種のぶどう100%のワインだけを作っていると、ぶどうの出来が悪かったときおいしいワインを提供できません。

しかし、出来不出来の異なるぶどうをブレンドすれば、ある程度ぶどうの出来が悪くてもカバーできるのです。

年度(ヴィンテージ)によって同じ銘柄でも味が違う

フランス・ボルドー地方の赤ワインの多くが、毎年微妙にブレンドするぶどうの割合(アッサンブラージュ)を変えています。

去年はカベルネ・ソーヴィニヨンが55%でメルロー45%だったけど、翌年はカベルネ・ソーヴィニヨンが47%でメルローが53%だったりするわけです。

まったく同じ造り手が作っているワインでも、旧世界のカベルネ・ソーヴィニヨンはぶどうの出来やアッサンブラージュによって年度ごとに味が変わります。

自分の好みに合ったものを探すためには経験や知識が必要なので、ちょっと初心者向きとはいえません。

ワインに慣れていないとおいしさがわかりづらいかも

フランスのように冷涼な国で育ったカベルネ・ソーヴィニヨンは、タンニンも酸も強いです。

そのため、旧世界のカベルネ・ソーヴィニヨンは、ほとんどが酸っぱくて渋い味わいに仕上がります。

もちろん、酸っぱかったり渋かったらワインとしてはおいしくないのかというと、そんなことはありません。

例えば、ピーマンなど「子供の頃は嫌いだったのに、いつの間にかおいしく感じるようになった」食べ物ってよくありますよね。

大人になると昔苦手だったものをおいしく食べられるようになるのは、いろいろな料理を食べて舌がレベルアップしたからです。

ワインの味わいも同じこと。

カベルネ・ソーヴィニヨンの豊かな苦味や、渋みの中にある旨味を感じ取れるようになるためには、ワインをたくさん飲んで舌をレベルアップさせる必要があるのです。

旧世界のフランスワインは奥が深い

管理人が旧世界のフランスワインを初心者におすすめしない理由として、「おいしくてコスパのよいワインを選ぶのが難しい」というものもあります。

これからワインを飲んでみよう、少しワインを飲んでみたらおいしかったから、これから詳しくなりたいと考えている人がワインに出せる金額は、おおよそ1,000円くらいですよね。

実際、東京国税局が発表している「ワインに関するアンケート」でも、ワインを楽しむ20代から50代の回答者全員が「1,000円以上2,000円未満」のワインを飲んでいると答えています。(※1)

でも、1,000円前後で購入できるフランスのカベルネ・ソーヴィニヨンは、ほとんどが若くて酸っぱくてタンニンで歯がキシキシしてしまうようなワインです。

フランスワインは、全世界のワインラヴァーの憧れ。

ワインは年間で仕込める量に限界があって、年度ごとのぶどうの出来や保管状況によっても品質が変わってしまうため、おいしいと思ったものをもう一度手に入れるのがとても難しい飲み物です。

古いワインや希少なワインなら、チャンスを逃すと二度と手に入りません。

ワイナリーの直販価格は5,000円程度なのに、何十年も経ってから同じワインに数十万円の値がつくこともあります。

フランスワインはとくにこうした値上がりが多く、これまで注目されていなかった1,000円前後の高コスパワインも、話題になるとすぐに高くなってしまうのです。

かといって、高いワインならおいしいのかというと、そう簡単でもないのが旧世界のワインの面白くて難しいところ。

カベルネ・ソーヴィニヨンの超高級ワインは、基本的に長熟タイプ。

ゆっくりと時間をかけ、何十年もかけて味のピークに近づいていきます。

熟成させて飲んだほうがおいしいワインを若いうちにあけても、ワインに慣れていなければ、飲みづらいしおいしくないと感じてしまうだけなのです。

旧世界のカベルネ・ソーヴィニヨンは、若くて安いワインのなかからおいしいものを見つけるのが難しく、超高級なワインも上級者向け。

3,000円から5,000円くらい出すと高確率でおいしいものと出会えますが、ワインにはまるかどうかといった段階だとそんなお金は出せません。

フランスのカベルネ・ソーヴィニヨンは非常に奥が深いため、初心者が1本目に試すワインとしてはあまり向いていないのです。

その点、新世界のカベルネ・ソーヴィニヨンは、カベルネ・ソーヴィニヨンらしさをぎゅっと凝縮して造られています。

フランスの小難しいカベルネ・ソーヴィニヨンの魅力を理解するのは、新世界のカベルネを飲み、「カベルネ・ソーヴィニヨンっておいしいな」「こういう香りがするのか」と理解してからでも遅くはありません。

(※1)出典:購入するワイン(720ml)の主な価格帯は|国税庁

新世界のカベルネ・ソーヴィニヨンはワイン初心者向き

新世界で造られるカベルネ・ソーヴィニヨンは、旧世界のものより甘みと果実味が豊富なので、ワイン初心者が飲んでもおいしく感じやすいです。

温暖な新世界のカベルネは果実味たっぷりでおいしい

新世界のカベルネ・ソーヴィニヨンは、果実味たっぷりで飲みやすい赤ワインに仕上がっています。

理由は2つ。

1つは、新世界の多くがフランスをはじめとした旧世界よりも温暖なこと。

例えば、カリフォルニアのように温暖でほとんど雨が降らない地域では、ぶどうがしっかりと熟します。

熟したぶどうは糖度が高い、つまり甘みが強いため、同じカベルネ・ソーヴィニヨンのワインでも旧世界のものより飲みやすくなるのです。

もう1つの理由として、「単一品種だから」というものもあります。

いわゆる新世界では、複数のぶどうをセパージュするのではなく、カベルネ・ソーヴィニヨンならカベルネ・ソーヴィニヨンだけを使ってワインを造ることが多いです。

新世界のカベルネはよく熟していて味も香りもわかりやすいですし、セパージュによってぶどうの味も混ざることもない。

だからこそ、ストレートに「カベルネ・ソーヴィニヨンらしさ」を味わうことができるのです。

ヴィンテージによる味や品質のばらつきが少ない

新世界のカベルネ・ソーヴィニヨンは、年度による品質の違いが少ないという点も見逃せません。

ぶどうは乾燥に強く育てやすい果物ですが、収穫の時期にたくさん雨が降ると、ぶどうが水ぶくれして水っぽい味わいになってしまいます。

また、雨の刺激でぶどうの皮が破れると、そこから果汁が漏れ出して病気になってしまうのです。

ワインの出来は、ぶどうの出来次第。

旧世界のカベルネ・ソーヴィニヨンは、その年の天候にぶどうの出来が大きく左右されますが、新世界ではカベルネ・ソーヴィニヨンの育成に適した土地を選んでぶどうを栽培しているため、ぶどうの生育や収穫量が安定しています。

同じような気候なら同じような品質のぶどうになるため、新世界のワインはヴィンテージによる差が小さめです。

むしろ、醸造や熟成の技術が年々高まっていくため、同じ銘柄のワインでもどんどん味や香りはよくなっています。

生産量も多いので「おいしい」と感じた場合にリピート購入もしやすいですし、ワインの値付けもシンプル。

「もう手に入らない」といった希少価値で金額が左右される旧世界のワインと違って、古いものや高いものほどおいしいことが多いので、ちょっといいワインを試してみたいときもワイン選びに失敗しづらいです。

さらに、新世界は旧世界よりも人件費や土地代が安いため、ワインの価格もリーズナブル。

  • 果実味たっぷりでストレートにおいしい
  • 品質が安定していていつでも入手できる
  • 高い・古い=おいしいという選びやすさ
  • 全体的に旧世界より安い

からこそ、ワイン初心者には新世界のカベルネ・ソーヴィニヨンをおすすめします。

おいしいカベルネ・ソーヴィニヨンを見つけるコツ

昼夜の温度差が大きい産地が狙い目

カベルネ・ソーヴィニヨンのワインを飲んでみて、「ほかにもおいしいカベルネ・ソーヴィニヨンを飲んでみたい」と思ったら、昼夜の温度差が大きくて雨の少ない産地を探しましょう。

カベルネ・ソーヴィニヨンに限らず、ワイン用のぶどうは栄養豊富で水分もたっぷりある快適な環境だとおいしくなりません。

おもしろいことに、水はけがよくて水分が少なく、頑張って地中深くまで根を伸ばさないと水を確保できない土地で育てたほうが、一粒一粒に栄養が凝縮した濃いぶどうになるのです。

また、果実が塾すくらい日差しが強く、果実が凍らないようにぶどうが自ら糖度を上げるくらい寒くなる土地で育てると、糖度が高くて酸味も豊かなカベルネ・ソーヴィニヨンに育ちます。 

そのため、緯度でいえば北緯45度のフランスとちょうど同じくらいの位置にある南緯45度のニュージーランド、大陸からやってくる温かい風とアラスカの冷たい風がぶつかるカリフォルニア、アンデス山脈に挟まれて太平洋の冷たい風が吹き込むチリなど、昼夜の温度差が大きい産地のカベルネ・ソーヴィニヨンを選ぶと、外しません。

 

「このワインはどういう場所で作られたのか」に思いを馳せながら飲むと、ワインがもっとおいしくなりますよ。

カベルネ・ソーヴィニヨンに合うおつまみ&料理

濃厚でコクのあるカベルネ・ソーヴィニヨンは、味や臭いの濃い料理とよく合います。

銘柄によってはスパイシーな香りを持つものもあるため、ステーキやローストビーフ、ハンバーグなどの牛肉料理と合わせてみましょう。

また、香りの強い白カビのチーズやチンジャオロースと合わせてもおいしいです。

どういうおつまみや料理と合わせるか迷ったときは、カベルネ・ソーヴィニヨンのワインを料理の味付けに使ったり、ワインの持っている香りや色と共通点のあるものを選んだりするのも定番。

少し変わったところでは、苦味の強いビターなチョコレートと一緒に楽しむのもおすすめです。

カベルネ・ソーヴィニヨンのほろ苦さや渋みが、チョコレートの甘みを際立たせてくれます。

自分の好みに合うカベルネ・ソーヴィニヨンを見つけよう!

ひとくちに「カベルネ・ソーヴィニヨンのワイン」といっても、産地や造り手、ワインを仕込んだ年度等によって味わいは別物です。

ワインを好きになっていく上で、大切なのは自分の好みを見つけること。

「この銘柄のカベルネ・ソーヴィニヨンが好き」
「この国のカベルネ・ソーヴィニヨンが好き」
「この造り手のカベルネ・ソーヴィニヨンが好き」 

といった自分なりの基準ができてくると、ワインを選ぶのが楽しくなります。
今回ご紹介したカベルネ・ソーヴィニヨンの基礎知識を参考にして、自分の好みに合ったカベルネ・ソーヴィニヨンを見つけましょう。