意外と知らない!?ワイングラスの種類と違いを解説

ワイン初心者 ワイングラス 種類

ワインは、使うグラスによって香りが変わります。せっかくおいしいワインを用意しても、肝心のグラスがワインと相性のよくないものだったら、ワインが持つ香りや風味を感じ取ることはできません。

ワインをもっとおいしく、楽しく飲めるように、今回はワイングラスの種類や違いについて解説します。

ワイングラスの基本!グラスの形と名前を知っておこう

ワイングラス 名前 パーツ

ワイングラスのパーツには、

リム(グラスのふちのこと)
ボウル(本体)
ステム(脚)
プレート(土台)

という名前がついています。4つのパーツのなかでもとくに重要なのが、ワインの味や香りを大きく左右する「リム」と「ボウル」です。

ワインの口当たりを決めるリム

リム(グラスのふち)は、基本的に薄ければ薄いほどよいとされています。グラスに口をつけたとき、リムが厚いとスムーズにワインを口のなかへ流し混むことができないからです。高いワイングラスは、ワインの味や香りをガラスの食感で邪魔しないように薄くなめらかなリムを採用しています。

ワインの味わいや香りを左右するボウル

また、ワイングラスの本体であるボウルの形や大きさ次第で、香りのふくらみやすさや口に含んだときの印象が大きく変わってくるのもポイントです。ボウルの角度によって、タンニンの多いワインを飲んだときに渋みを抑えた味わいに感じたり、酸の強いワインの酸を適度に抑えたりすることができます。

リムの厚みやボウルの形状・大きさによってワインの印象が変わるからこそ、世界中のワイングラスメーカーがさまざまなワイングラスを販売しているのです。

装飾の意味合いが強いステム・プレート

ワイングラスのステム(脚)は、基本的に「ワインを手で温めないため」についています。いわゆるブランデーグラスのように、手のひらで包みこむようにワイングラスを持つと、手の温度でワインの味や香りが変化してしまうのです。

ワインによっては温度をあげずに飲んだほうがおいしいものもあります。とくに白ワインを楽しむときは、ステムつきのワイングラスがあると便利です。

また、ステムの目的として、「グラスに注いだワインの色や状態を見るため」というものもあります。ステムがあると、ワイングラスを思い切り傾けて、ワインの色や輝き、粘性などさまざまな点を簡単にチェックできるのです。また、ワイングラスを天井に掲げて光に透かすこともできます。ステムのないデザインだと、手が邪魔になってワインの色や見た目を細かくチェックできません。そのため、ソムリエや生産者がワインをテイスティングするときは、ワイングラスのステムを持つことが多いです。

ただ、個人的にワインを楽しむ場合、ステムの有無にこだわらなくてもよいでしょう。管理人は、ステムのあるワイングラスのほうがおしゃれなので気に入っていますが、リーデル社の「リーデル・オー」シリーズが生まれた影響で、ステムやプレートのないタンブラー型のワイングラスも増えてきています。

おしゃれでワインの色などをチェックしやすいステムつきと、気軽に使えるステムなし、どちらがよいかは完全に好みの問題です。

ワイングラスは「チューリップ型」と「バルーン型」にわけられる

ワイングラスは、大きく「チューリップ型」と「バルーン型」のどちらかにわかれます。続いては、両者の違いや特徴を見ていきましょう。

チューリップ型

チューリップのように、リムの部分がやや外側に開いている形状をしたワイングラスのことを、チューリップ型と呼びます。チューリップ型の特徴は、注いだワインの甘みや果実味を感じやすいことです。

甘みに乏しいワインや果実味たっぷりのワインをチューリップ型のワイングラスで飲むと、タンニンや酸を気にせずに飲むことができます。

バルーン型

一方、風船のようにきれいなカーブを描いているのがバルーン型。フランス・ブルゴーニュ地方生まれのピノ・ノワールなど、香りの豊かなワインを飲むのに向いています。チューリップ型のようにリムが開いていないため、バルーン型のワイングラスを使うと酸を強く感じやすいのが特徴です。

ボウルの大きなものはワインと空気の触れ合う表面積も広くなるため、上質なワインをバルーン型のグラスで飲むと、部屋いっぱいに花や果実の香りが広がります。

赤ワイン用グラス

ボルドーグラス

by カエレバ

赤ワイン用グラスのなかでも、一番よく目にするのがボルドーグラス。分類としてはチューリップ型で、フランス・ボルドー地方のワインをおいしく飲むことができます。

カベルネ・ソーヴィニヨンを使ったボルドー地方のワインは、タンニンが強いため渋みや苦味を強調されやすいです。甘み・果実味を引き出すチューリップ型のボルドーグラスを使うと、タンニンを抑えてカベルネ・ソーヴィニヨンが持つ本来の甘みやうまみを感じることができます。

また、ボルドーグラスの特徴として、縦長でスマートな形をしていることが多いです。横幅のあるボルドーグラスはほとんどなく、大ぶりのグラスでも縦に大きくなるようなイメージ。

カベルネ・ソーヴィニヨンやマルベックなどタンニンの強いワインや、果実味の豊かなメルロー、シラーなど、比較的味や香りの濃い赤ワインを飲むのに最適です。

ピノ・ノワールグラス

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ボルドーグラスと違って、横に大きく膨らんだバルーン型のワイングラスは、おもにピノ・ノワールを使ったワインを飲むために使われます。ピノ・ノワールはボルドーと同じくらい有名なフランスの生産地、ブルゴーニュ地方を中心に世界中で造られているぶどう品種です。土地の特徴を素直に反映するぶどうで、酸が強く、とても華やかな香りのワインになります。

ピノ・ノワールのワインは、ボルドーのワインに比べると繊細で、甘みや濃さがそれほど強くありません。しかし、香りをふくらませることができ、酸味を強調してくれるピノ・ノワールグラスとの相性は抜群です。

ボウルのサイズこそボルドーグラスより大きいですが、グラスの口がきゅっとすぼまっているため、香りが逃げづらいのも特徴。ピノ・ノワールのワインが好きなら、1脚持っておいて損はありません。

白ワイン用グラス

万能型のグラス

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ボルドーグラスをそのまま小さくしたような形状をしているのが、万能型の白ワイン用グラスです。スマートな見た目ですが、ボウルはしっかりと膨らんでおり、ワインの香りを引き出すこともできます。香りの薄いワインから濃いワインまで、幅広く楽しめる優等生的なグラスなので、白ワイン用グラス選びに迷ったときは、万能型をチョイスしましょう。

青草や柑橘類の香りが特徴的なソーヴィニヨン・ブラン、シャルドネ、リースリング、デザートワインなど、たいていの白ワインは万能型グラスひとつあれば十分です。

シャルドネグラス

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樽熟させたシャルドネワインをはじめ、香りもコクも豊かな高級クラスのシャルドネを飲むときに使われるのが、横長でグラスの口径が大きいシャルドネグラス。風鈴のような形をしています。ボウルが大きいのでワインの香りをじっくりと引き出してくれて、まろやかさやコクを楽しむことができるのが特徴です。

横長で大きなボウルをしている点ではピノ・ノワールグラスと似ていますが、シャルドネグラスは口があまりすぼまっていません。高級白ワインや樽熟させたシャルドネだけでなく、まろやかなワインや甘み・果実味の強いワインを注いでも楽しめます。

スパークリングワイン用グラス

フルートグラス

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縦に細長い、楽器のフルートに似た形をしているワイングラスです。スパークリングワイン用のグラスとして広く知られており、グラスによってボウルに軽いふくらみのあるものもあれば、一切ボウルのふくらみがない直線的な形をしているものもあります。

縦長の形状をしているのは、グラスの底から泡が立ち上る様子を楽しめるから。より美しい泡立ちを生むために、あえてグラスの底に小さなキズを入れているグラスもあるくらいです。

また、グラスの口径が小さいためワインの香りや泡が抜けにくく、一般的なワイングラスよりも泡が長持ちします。

一方で内容量が少なく、ボウルのふくらみも浅いので、赤ワインや白ワインなど香りを楽しみたいワインを注いでもおいしくありません。あくまでも、スパークリングの泡やキレのいい酸味を楽しむためのグラスです。

クープグラス

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厳密にいうとワイン用のグラスではなく、カクテル用のグラスとなります。ただ、スパークリング用のグラスとして使われる場合もあるので、ついでに知っておきましょう。

クープグラスの特徴は、見た目の美しさと口の広さ、そして底の浅さです。もともとはヨーロッパで貴族がワインを飲むときに使われていたとされていて、フルートグラスが流行るまでは日本でもクープグラスでスパークリングワインを楽しんでいました。

フルートグラスと違って、グラスの表面積が広く深さがないため、スパークリングの泡や酸味を楽しむことはできません。ただ、フルートグラスよりも圧倒的に口が広いため、グラスを口に近づけただけでスパークリングワインの香りが広がります。ワインの香りを逃さないように口をすぼめている一般的なワイングラスと違って、香水のように周囲へワインの香りを振りまくことのできるグラスです。

見た目もおしゃれで、幅広のボウル部分を持てば安定するのもポイント。少し変わったグラスを飲んでみたい人、家でよくカクテルをつくる人は、フルートグラスと一緒にクープグラスも使ってみましょう。

その他のワイングラス

ポートワイングラス

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通常のワインにブランデーを混ぜ、アルコール度数を高めたワインのことを、専門用語で「酒精強化ワイン(フォーティファイドワイン)」と呼びます。ポートワインは、ポルトガルで造らている世界的に有名な酒精強化ワインです。

ちなみに、ポートワインはスペインのシェリー酒、同じくポルトガル生まれのマディラワインと合わせた世界3大酒精強化ワインのひとつとして高く評価されています。極限まで糖度を高めたデザートワインとは違って、甘さがありつつも渋みや酸味もあり、ワインとはまた一味違った複雑な熟成香を楽しめる飲み物です。

デザートワインのような甘口のポートワインだけでなく、食事と合わせやすい辛口のポートワインもあるので、機会があったら一度飲んでみましょう。

そんなポートワイン用グラスの特徴は、万能型の白ワイン用グラスよりもさらに小ぶりなこと。一般的なワインよりもアルコール度数の高いポートワインは、室温や体温でアルコールが揮発して香りを立たせてくれます。アルコールが飛びすぎないように、小さなグラスにしているわけです。

また、度数が高くて1口あたりの満足感も高いので、わざわざ大きなグラスを用意する必要がありません。多くの場合、ポートワインは食後酒として親しまれています。

まとめ

ワインを好きになったら、ワイングラスにもこだわりましょう。ワイングラスによる香りや味わいの変化は、試したことのない人だと想像できないくらい大きいです。赤ワイン用のボルドーグラス、小ぶりな白ワイン用の万能グラス、スパークリングワイン用のフルートグラスがあれば、世の中にあるほとんどのワインを楽しめます。

ワイングラスの種類や違いを知っていると、同じワインを飲むときにグラスを変えて飲み比べるなんてことも可能です。ワインバー等へ飲みにいったとき、プロがソムリエがどのワイングラスを選ぶかでワインの味を想像するといった楽しみ方もできるようになります。

自分好みのワイングラスを揃えて、いままで以上にワインを好きになりましょう。