ワインの「旧世界と新世界」ってなに?どう違うの?両者の違いを解説

旧世界と新世界 違いを解説

コンビニやスーパー、ネットのワインショップで飲みたいワインを選ぶとき、

「あれ、どのワインを選んだらいいんだろう」

と手を止めてしまったことがある人は多いはず。

それもそのはずで、世界には何十種類、地ぶどうなどを含めれば何百種類以上のぶどうがあって、さらに生産者や生産国の違うワインが何千種類と並んでいます。

ワインについて詳しい人でも、迷わず「これに決めた!」とはなかなか選べないものなのです。

実際、管理人もワインを買うときはめちゃくちゃネット等で調べてから購入することがほとんど。

ただ、大雑把にワインの傾向や違いを知っておけば、ワイン選びはぐっと楽になります。

今回は、ワイン選びに役立つ「旧世界と新世界の違い」を解説しました。

ワインには「旧世界」と「新世界」という分類がある

ワイン 違い 種類

photo credit: Saundi Wilson Photography DSC01353 via photopin (license)

まずは、そもそも旧世界だの新世界だのって一体なんなんだというお話から。

旧世界ってなに?

ワインの世界では、ワインの産地を「旧世界」と「新世界」に分類することが多いです。

旧世界というのは、昔からワインを造っているヨーロッパ周辺。

とくに、フランス・イタリア・スペインの3カ国で造られたワインが「旧世界」に分類されます。

ワイン造りの歴史が長いため、ワインにまつわるエピソードが多かったり、超高級ワインが何種類もあったりする、全世界のワインラバーが憧れるワインです。

新世界ってなに?

新世界というのは、旧世界以外の場所で作られたワインのこと。

じつは、アメリカやカナダ、オーストラリア、ニュージーランド、インド、ブラジルにチリなどでもワインは造られています。

人件費や土地代が安い新世界のワインは、価格がリーズナブルで種類も豊富。デイリーワインに最適です。

なかには旧世界のワイナリーで有名なワインの醸造家がワイン造りに協力していたり、実験的なワインを造っていたりすることもあります。

安くてもおいしいワインがごろごろ転がっている、おすすめのワイン生産国なのです。

ちなみに、新世界やニューワールドと呼ばれる地域のワイン造りは、旧世界で培われてきた醸造の知識や技術をお手本にしていることがほとんど。そのため、新世界のワインも、高級なワインになればなるほど、旧世界のものに近い味や香りに近づいていることが多くなります。

旧世界と新世界の違い

つぎは、旧世界と新世界の違いを見ていきましょう。

複雑な香りとしっかりした酸が特徴的な旧世界

フランス・イタリア・スペインなど、ヨーロッパの国々で造られる旧世界のワインが持つ特徴を簡単に説明すると、複雑な香り豊かな酸です。

旧世界、とくにフランスでは、紀元前からワイン造りが行われていました。ワインに詳しくない人でもなんとなく名前を聞いたことのある5大シャトーロマネ・コンティもフランスワイン。

膨大なノウハウと長年ワイン造りを続けてきたことでできた環境は、ほかの国だとそう簡単には再現できません。造り手の努力や試行錯誤、何百年と続くワイン生産地で培われてきたぶどうの育成環境などがあいまって、ぶどうで造ったワインなのにブルーベリーやいちご、チョコレート、タバコ、コーヒーなど複雑な香りのワインに仕上がります。

ぶどうの酸味を生むのは、昼夜の大きな寒暖差です。夜冷える地域だと、太陽の日差しがある時間帯の気温差でぶどうがストレスを受け、環境的なストレスに耐えるために酸や糖度を調整します。その点、たとえばフランスの首都であるパリですら、日本の最北端より寒いところにあります。全体的に冷涼な気候の多い旧世界では、酸の豊かなワインに仕上がりやすいのです。

すっきりしたワインを飲みたいとき、ワインについて勉強したいときは、旧世界のワインを選びましょう。

豊かな香りとアルコール度数の高さが特徴的な新世界

新世界で造られるワインの特徴は、果実味いっぱいの豊かな香りアルコール度数の高さです。

新世界の多くは、ビジネスのため、よりよりワインを造るために「ぶどうの生育環境に適した場所」を選んでぶどう栽培をしています。ワイン用のぶどうを育てる上で、「寒暖の大きさ」はとても大切ですが、天候が荒れている地域だとワインはうまく収穫できません。

ぶどうは乾燥にも病気にも強い果樹ですが、収穫の時期に雨が降ると果皮が割れ、果汁が漏れ出て病気になってしまうからです。

そのため、新世界のワイン生産地は、温暖雨が少ない地域がほとんど。暖かくて天気のよい土地では、果実がよく熟します。その結果、ぶどうの糖度も上がって果実の香りが強くなるのです。

また、ワインは果実のなかに含まれる糖分を酵母が食べ、二酸化炭素とアルコールに分解するという過程を経て嗜好品になります。ぶどうの糖度が高いと、酵母がたくさん糖分を食べてより多くのアルコールを生み出すため、新世界のワインはアルコール度数の高いものが多いです。

お手頃価格で手軽にワインを楽しみたいとき、「アルコール!」「甘い!」「果実味たっぷり!」といったわかりやすいワインを飲みたいときは、新世界のボトルを選ぶとよいでしょう。

ワイン造りのやり方も違う

じつは、旧世界と新世界ではワイン造りの方法も違います。ワイン造りの歴史が長く、天候もあまり安定していない旧世界では、ぶどうの出来不出来に差が出てもカバーできるように、複数のぶどうをセパージュ(ブレンドのこと。アッサンブラージュと呼ぶ場合も)してワインを造ります。

ブレンドするぶどうの種類は地域やワイナリーによって違いますが、フランスのボルドー地方なら3種類が一般的。たった数%違うぶどうを混ぜるだけで味や香りが大きく変わってしまうため、ブレンドではワインに対する知識や経験がものをいいます。

新世界では、造られるワインのほとんどが単一品種。つまり、カベルネ・ソーヴィニヨンならカベルネ100%、シャルドネならシャルドネ100%でワインを造ることが多いです。

使っているぶどうの種類が1つだけなので、新世界のワインは「そのぶどうが持つ本来の香り」がわかりやすくなっています。

気候やぶどうをセパージュするかどうかの違いが、旧世界と新世界の差を生んでいるのです。

とはいえ、旧世界も新世界も広いので、旧世界でも単一品種で造られているワインはたくさんあります。新世界でも複数のぶどうを混ぜ合わせた複雑なワインがあるため、両者の違いはあくまでも基本です。

まとめ

ワインは、一般的な量販店で手に入るものだけでも数えきれないほどの種類があります。ワインについてなにも知らない状態で、自分の好みに合う1本を見つけるのは難しいでしょう。

ただ、「香りの複雑なもの、酸のしっかりしたワイン」を飲みたいときは旧世界、「果実味豊かでアルコール度数の高いワイン」を飲みたいときは新世界という違いを知っていれば、ワイン選びがぐっと楽になります。

難しくてとっつきづらいイメージのあるワインですが、実際にはちょっとした違いを知っているだけで、ワイン選びに困ることはありません。大切なのは自分の好みに合うものを楽しむことなので、スーパーやワインショップで「どのワインにしようか」と悩んだときは、旧世界と新世界の違いを参考にしてみてください。